コラム

派遣社員も雇用保険に入れる?加入条件やメリット・失業手当の受給方法を解説

派遣社員も雇用保険に入れる?加入条件やメリット・失業手当の受給方法を解説

派遣社員であっても「週の所定労働時間が20時間以上」かつ「31日以上の雇用見込みがある」という2つの条件を満たせば、雇用保険への加入が法律で義務付けられています。なお、2024年に成立した改正雇用保険法により、2028年10月1日からはこの加入条件が「週10時間以上」に拡大される予定です。本記事では、派遣社員の雇用保険の加入条件をはじめ、失業手当(基本手当)や教育訓練給付金といった加入メリット、退職時の具体的な受給手続きについて解説します。

【この記事で分かること】

  • 派遣社員が雇用保険に加入するための「2つの必須条件」と対象外になるケース
  • 失業手当はいくらもらえる?受給額の計算目安と教育訓練給付金などのメリット
  • 契約満了(特定理由離職者)と自己都合による失業手当の受け取り条件の違い
  • 離職票の受け取りからハローワークでの申請、受給開始までの具体的なスケジュール

1. 雇用保険とは?派遣社員も加入できるのか

派遣社員として新しいお仕事を始める際、給与や勤務地と同じくらい気になるのが福利厚生、特に「雇用保険」の扱いです。まずは雇用保険の基本と、派遣社員への適用について正しい知識を身につけましょう。

1-1. 雇用保険の基本的な役割と仕組み

雇用保険とは、労働者が失業した場合や、育児・介護などで休業せざるを得なくなった場合に、生活の安定や再就職を支援するための公的な保険制度です。一般的には「失業保険」と呼ばれることも多いですが、正式名称は雇用保険であり、失業時の基本手当の支給だけでなく、職業訓練の支援など幅広い役割を担っています。

労働者と事業主の双方が保険料を負担し、国が運営を行う相互扶助の仕組みとなっています。なお、保険料の負担割合は労使折半ではなく、事業主の負担割合の方が大きく設定されています。毎月の給与から一定の保険料が天引きされますが、それによって万が一の事態に対するセーフティネットが確保されます。雇用保険は労働者を守るための重要な国の制度であり、事業主の都合で加入を拒否することは法律で禁じられています。

1-2. 派遣社員であっても加入対象になる理由

雇用保険法では、正社員、契約社員、パートタイム、アルバイト、派遣社員といった雇用形態に関わらず、労働者として賃金を得て働く人を広く保護の対象としています。

派遣社員の場合、雇用関係を結んでいるのは派遣先の企業ではなく、登録している派遣会社(派遣元)です。したがって、雇用保険の加入手続きや保険料の納付、そして退職時の離職票の交付などはすべて派遣会社が行うことになります。派遣社員であっても、後述する国が定めた加入条件さえ満たしていれば、派遣会社にはあなたを雇用保険に加入させる法的義務が生じます。

2. 派遣社員が雇用保険に加入するための2つの条件

派遣社員が雇用保険に加入するためには、具体的にどのような条件をクリアする必要があるのでしょうか。国が定めている加入の必須条件は、大きく分けて以下の2つです。これら両方を満たした場合にのみ、加入対象となります。

2-1. 条件1:1週間の所定労働時間が20時間以上であること

最初の条件は、労働時間に関するものです。雇用契約書(労働条件通知書)に記載されている「1週間の所定労働時間が20時間以上」であることが求められます。

ここで注意すべきポイントは、「実際に働いた時間(残業時間などを含む実労働時間)」ではなく、「契約上で定められた労働時間」で判断されるという点です。例えば、契約上の所定労働時間が週15時間である場合、たまたま残業が多くて週20時間を超える週があったとしても、原則として雇用保険の加入対象にはなりません。逆に、契約上が週20時間以上であれば、有給休暇を取得したり、会社の休業日で実際の労働時間が20時間を下回った週があったとしても、加入資格は維持されます。

週3日・1日7時間勤務(週21時間)や、週5日・1日4時間勤務(週20時間)といった働き方であれば、この条件をクリアすることになります。

2-2. 条件2:31日以上の雇用見込みがあること

2つ目の条件は、雇用期間に関するものです。「31日以上引き続き雇用されることが見込まれること」が加入の要件となります。

派遣社員の場合、契約期間が数ヶ月単位で更新されるケースが一般的です。もし最初の契約が「1ヶ月(30日以内)」であったとしても、契約更新の可能性があり、実質的に31日以上働く見込みがある場合は、最初の就業日から雇用保険の加入対象となります。

具体的に「31日以上の雇用見込みがある」と判断されるのは以下のようなケースです。

  • 雇用契約書に「契約期間の更新がある」旨の記載がある場合
  • 雇用契約書に「更新がない」旨の明確な記載がなく、同様の条件で雇用された他の労働者が過去に31日以上雇用された実績がある場合

短期の単発派遣や、1ヶ月未満で確実に契約が終了する日雇い派遣などの場合は、原則として通常の雇用保険の対象にはなりません。

2-3. 例外として加入できないケース(学生など)

上記の2つの条件を満たしていても、特定の属性に該当する場合は雇用保険の対象外となる例外規定が存在します。最も代表的なのは「昼間学生」です。大学、短大、高等学校、専修学校などに通う昼間学生は、本業が学業であるとみなされるため、原則として雇用保険には加入できません。ただし、卒業見込み証明書を有しており卒業後も引き続き同じ事業所に勤務する予定の学生などは例外として加入が認められる場合があります。

3. 雇用保険に加入する3つのメリット

雇用保険は私たちが直面するかもしれない様々な人生の転機やピンチを支えてくれる、非常にメリットの大きい制度です。ここでは、雇用保険に加入することで得られる3つの大きなメリットを解説します。

3-1. 失業手当(基本手当)を受給できる

雇用保険の主なメリットの一つは、退職後に「失業手当(正式名称:基本手当)」を受け取れることです。派遣期間の満了や自己都合の退職、あるいは会社都合による契約解除など、職を失った際に次の仕事が見つかるまでの間の生活費をサポートしてくれます。

受給するためには、原則として「離職の日以前の2年間に、被保険者期間が通算して12ヶ月以上あること」が必要です。(会社都合や契約満了などの場合は要件が緩和される場合があります。)受け取れる金額は、退職前の6ヶ月間の給与の平均額に基づいて計算されます。

3-2. スキルアップを支援する教育訓練給付制度が利用可能

雇用保険は失業時のサポートだけでなく、在職中や退職後のキャリアアップも支援します。それが「教育訓練給付制度」です。厚生労働大臣が指定する講座を受講した場合、受講費用の一定割合がハローワークから支給されます。

3-3. 育児休業給付金や介護休業給付金のサポート

雇用保険は、ライフステージの変化に直面した労働者の生活も支えてくれます。育児休業を取得した場合に支給される「育児休業給付金」や、家族の介護のために休業した場合に支給される「介護休業給付金」です。派遣社員であっても、一定の条件を満たせば、これらの給付金を受け取ることができます。

4. 派遣先を退職した際の手続き・失業手当の受給方法

派遣先での契約が満了したり、やむを得ない理由で退職することになった場合、失業手当(基本手当)を受け取るための手続きを速やかに進める必要があります。

4-1. 派遣会社からの離職票の受け取りと退職理由の確認

まずは派遣会社に「離職票(雇用保険被保険者離職票)」の発行を依頼します。離職票が届いたら、離職理由(自己都合・契約満了・会社都合)を必ず確認しましょう。離職理由によって、失業手当を受け取れるまでの期間や支給日数が変わります。

4-2. ハローワークでの申請手続きの流れ

離職票が届いたら、住所地を管轄するハローワークで求職申込と受給手続きを行います。受給要件が確認されると、後日開催される雇用保険受給説明会の案内を受けます。

4-3. 受給開始までの待期期間と給付制限について

受給手続き完了後、まず7日間の待期期間があります。さらに退職理由によって、その後の扱いが異なります。契約満了や会社都合では待期後すぐに支給対象期間が始まり、自己都合退職では給付制限期間が設けられます。法改正による運用変更もあるため、最新情報は必ずハローワークで確認してください。

5. まとめ

派遣社員も週20時間以上の労働と31日以上の雇用見込みがあれば雇用保険に加入でき、失業手当や教育訓練給付金など充実した支援を受けられます。退職時は離職理由の確認や手続きを忘れずに行うことが重要です。制度は法改正により更新されるため、最新情報を確認しながら準備を進めましょう。

参照・引用元一覧

コラム一覧へ